あおりんごの凡ぶろぐ

美大を卒業した後、色々な経験を経て、現在は個人事業主&作家活動中

京都のお茶屋で学んだ人生観




パートナーと初の二人旅へ。
場所は京都。

お互い京都には来たことがあったので情報を出し合って行きたい場所をチェック。
その中でもひとつ、京都へ行くと私は必ず寄りたくなるお茶屋さんがあるのだ。
そこへ実際行ってみると席数も少ないので見事に満席。
だけど店主が気を利かせて先に着席していた常連さんに声をかけ、ひとつ席をズレてもらい、私たちは無事入店することができた。

メニューを選んでいると店主がお茶について説明してくれる。
パートナーは抹茶わらび餅セット、私はオススメされたインドから輸入したばかりだというダージリンファーストフラッシュという紅茶と甘味を注文。
パートナーは表情がほぼ変わらないけど、少しワクワクしている様子が伝わってくる。
こういうマニアックなお店っていいよね。

パートナーのわらび餅セットにはお抹茶がついていた。
初めてお抹茶を飲んだそうだけど、とても気に入ったみたい。
わらび餅も美味しそうに最後まで大切に食べていて尊い
パートナーこと推しは毎日尊いな。
なんで一緒にいてくれるのか不思議でならない。

私は最初に甘味を、後から紅茶をいただく。
初めは紅茶のフレッシュな香りと軽い苦味を楽しみ、2杯目、3杯目と、どんどん強くなる茶葉の苦味を味わうというものだった。
確かにどんどん苦くなるけど、酸化した渋い苦味ともまた違い、何よりキレのいい苦味が良い。
店主にそこへ砂糖を入れることを勧められる。
私はあんまり甘いお茶は好きじゃないと話すがそれに対して「騙されたと思って入れてみて」と言う店主。
納得しない顔をしたまま騙されたと思ってお砂糖をティースプーン一杯分、苦味の効いた紅茶に入れてかき混ぜる。
・・・・・なんと!苦味がとてもまろやかになったのだ。
驚き過ぎてパートナーにも勧めてみる。
パートナーも驚いている。

店主は笑いながら「これは良い苦味を経験しないと味わえないんだよ」と言っていた。
私はそれを聞いて「それって人生じゃん!」と言ったら店主もハッとしてから照れくさそうに笑っていた。

最初にひとつ席をズレてくれた常連さんは隣で、お茶っぱの入った大きな器で豪快に飲んでいた。
飲みながらも茶漉しがないので茶葉も食べちゃう。
もぐもぐと食べていたので「美味しい?」と聞いてみると「美味しいよ」と笑っていた。
店主が語るに、それはお茶っぱも食べられるほど新鮮なお茶だそうだ。
常連さんは海外の病院でも活躍されていた外科の先生だったようで、今はもう隠居生活だという。
この後は舞妓さんの踊りを見に行くのだそう。
チケットをたくさん買って見にいくことが生き甲斐のようだった。
粋な生き方である。

京都の色んな場所へ行った。
最後の晩に、少しアクシデントがあってパートナーと話し合いをした。
その話し合いにより、翌日は旅の帰路をスッキリと楽しめた。

振り返ってみると、あのアクシデントは私たちに必要な苦味だったのかもしれないな。
パートナーとの出会いからしてそうだし。

喧嘩らしい喧嘩や言い合いはほとんどないけど、話し合いは常にするようにしている。
そうやって少しずつお互いを理解していけるように生きていきたい。
どの場面で何がどう嫌だったのか、どうしたら嬉しいのか。
私はパートナーが悲しいのも自分が泣くのも嫌だ。
今世で一緒にいられる時間は出来るだけ、お互いが笑顔で楽しくいられるようにしたい。