あおりんごの凡ぶろぐ

美大を卒業した後、色々な経験を経て、現在は個人事業主&作家活動中

リアル推し事3

リアル推しこと大学時代の先輩とお出かけしてきました。

【遡ること2日前】
・元々の予定:お茶→共通の先生の展示を観に行く
・二日前:朝から動物園に行かないかというご提案
朝?
動物園??
極め付けは「電話してもいい?」

待って。
私たち、卒業してから一回しか会ってないよ。
お互いよく知らないのにいきなり電話はきつい。
正直、何がしたいのかよくわからなかった。

調べたら男性からの「電話してもいい?」は「もっと知りたい」とか好意の意味だとか。
いやもうすぐ会うじゃないですか。
何を話すの?
このメッセージに私は頭を抱えた。
先輩のこと好きではあるけど、まだどんな人だかわからないし、距離近くてちょっと恐い。
そのメッセージは2度ほど送られたけど、私の反応がなかったからか先輩側がメッセージを消していてホッとした。

【1日前】
私がお世話になっている作家さんからコンサートのご招待をいただいた。
友人も誘っていいというので、先輩を誘ってみる。
行きたいとのことだったので2人で行くことに。
当日誘ってもよかったけど、TPOに合った洋服選びってあるからこういうのは事前に聞いた方がいいよね。

【当日】
初っ端から待合せに遅れる私。
先輩は先にお店に行って並んでカウンター席を取っておいてくれていた。
ご挨拶をして、メニュー一緒に見て、紅茶とケーキを注文。
食べながら少しずつ会話を進める。

推しこと先輩は、相変わらず私の好きなお顔(すぐ忘れちゃうけど…)。
まつ毛長くて鼻高くて顔パーツ整ってて、ファッションも綺麗系で、声も静かで、お店の人にも礼儀正しい。
顔を見て話してたら、二日前に感じていた恐怖は吹っ飛んでいったと同時に「なんでこの人私を誘ってくれたのだろう?なんかの勘違いじゃないのかな。別の人と間違えてないのかな」とお茶に誘われたこと、一緒にお茶していることを信じられずにいた。

オススメ本を交換こした。
私はメルロー=ポンティの哲学本。
実は読んだことがあるようだけど、翻訳した人が違うので読んでみるとのことだった。
私はこの本を読んだ人と語りたい。

前日、先輩はギリギリまで迷って選択肢をいくつか出してきた。
その中で私は「何の役にも立たない本がいい」と答えていた。
先輩が私に何の本を貸そうかというプレッシャーを感じていたけど、私の選んだこの答えで肩の荷が降りたのだそうだ。
その結果私が借りたのは江戸時代の旅行ガイドブック?の「旅行用心集」だ。
役には立たなさそうだけど、私的に好みである。
役に立つ本は自分で選べるけど、知識に偏りが出るんだよね。

スイーツと紅茶を飲みながら、映画について、本について、語っていった。
先輩は私の好きな映画が自分の好きな映画と同じだったから「この人は自分と似ている所がある」と思ったようだ。
先輩は自分で「根暗なんだよね」と言っていた。
私は自分で「私オタクなんですよね(早口)」と開き直って告白していた。
一体何の話でそうなったのかは覚えていない。

1時間ほど話して、カフェから出ようということになった。
お手洗いに行って戻ると会計を済ましてくれていた。
付き合ってもないのに、何故。
私は対等でありたいので、あんまりそういうことされるのは困るなぁ。
お金を受け取りたくなさそうだったので「次は私が払いますね」ということで落ち着いた。
格好を、つけたいのですね。
私に対してそう思ってもらえているだけでも嬉しいよ。
無理はしないでほしいし、お金も自分のために使ってほしい。
お互いに何のリスクも負担もない方が長く関係を続けていけるんじゃないだろうか。
「格好良い」とは、お金の使い方だけじゃないと私は思うんだよ。

散歩しながら会話を続ける。
川辺を目指していたが、お互い方向音痴だった。
何とか川辺に辿り着き、のんびり歩く。
私を確認しながら歩調を合わせて歩いてくれる。
途中川辺に座って会話をする。
寒くなってきたので、移動。
弟がジェントルマンなのだという話をした後にお互いお手洗いに寄って、私が戻った時には先輩が温かいお茶を買っていた。
「飲む?」と言われたけど即断る私(鈍感)。
外に出たらそのお茶を渡してきて「寒いから手を温めて」と。
ジェントルマン・・・・さっき弟の話したから??

お寺へ行く。
観光地なのであらゆるところで外国語が飛び交っていて楽しい。
歩いてる時に先輩が急に私に向かって中国語を話し出した。
日本語訳にすると「私は日本人ですか」だったので何が言いたいのか謎だったけど、私が中国語を学んでいるから先輩なりに挑戦してみたのだとわかった。
一生懸命私に寄り添ったコミニュケーションを図ろうとしているところが愛しい。

お参りをしてからおみくじを引く。
先輩は凶、私は吉。

小さな遊園地の周りを散歩してから、先輩がサツマイモ好きみたいで食べたいという芋羊羹を購入。
ここでも私が買おうとするとお金を出させてくれない。
うーん。
また川辺に戻って食べようとのことだったので、私もコンビニで飲み物を購入。
先輩は外で待っていてくれた。

川辺のベンチで先輩が好きな高速道路と、私の好きな電車と、夕焼けを眺めながら芋羊羹を食す。
これってデートなのでは?(先輩は頑なにデートと言いたがらない。)
会話が本当に止まらない。
私も先輩の話に興味が尽きないし、先輩も私の話に興味津々の様子。
会話が止まったとしても特に苦にならない。

寒くなってきたので、先生の展示会のレセプションへ行く。
先生や周りの作家さんにもご挨拶をしていく。
私が珍しく先輩と一緒にいるので不思議な組合せに皆「お?」という顔をしている。
とはいえ事実何もないので何も言えないですね。
ただ「先輩と一緒に来た後輩」として振舞う。

レセプションを見に来たのに1時間経っても始まる様子がない。
コンサートの時間に間に合うだろうか?
探してみると先輩はひとりドアの外に出ていた。
そうだ、人混み苦手な人なんだっけ。
私も得意ではないけど。
私も外へ出て「そろそろ行こうか?」という相談を先輩にして、先生へ挨拶をして帰ろうとすると先生に止められる。
どうしても私たちにレセプション見て欲しかったらしい。
少しなら待てると交渉し、少し早めに先生の作品解説を見せてもらった。
終わって即先生に挨拶をして展示会場を出る。

満員電車でコンサート会場へ移動。
興味のある本やテレビや研究がお互いほぼ同じで電車の中でも会話は止まらない。
そしてコンサート会場でスムーズにチケットゲット。
少し遅れたけど、半分以上のコンサートを観て聴くことができた。
私は会場が暖かくて心地よくて眠ってしまった。(先輩にガッツリ見られていた)
帰りにご招待してくださった作家さんにご挨拶。

お腹すいたけど頑なに食べなかった先輩。
ご飯行こうとすると何とか回避しようとするのだけは未だ謎。
あんまりご飯食べない人みたい?
でも甘いものはよく食べる。
コーヒーも紅茶も緑茶もお酒も好きみたい。

今日はもう帰ることにした。
駅に向かう階段を降りているとき、先輩がふと足を止めてこちらを振り返った。
「実は今日誕生日だったんだ。コンサートも聴けて良い誕生日になったよ、ありがとう。」

は?聞いてない。
ご馳走されっぱなしで、何にもあげてないよ。
「そう考えると思って言わなかったんだ」って。
それで私の誕生日聞いてくるっていう。
そんで覚えようとしてくれてな・・・・・何なの。
自分の誕生日に私と一緒に過ごすことを選んでくれていたってこと??

別れて、お互い帰りの電車に乗って、しばらくしたら先輩から連絡きた。
楽しかったって内容と、今日撮った何気無い写真が送られてきた。
うう。かわい・・・い・・・・。
お返しに私も今日撮った変な写真送った。

【ふりかえり】

理解が追いつかないです。
先輩は私の何が良くて一緒にいるのか全然わからない。
また出かけようって言ってた。
一緒にいて話してるだけで幸せだった。
興味を持っているものがほとんど同じだったからか、会話のキャッチボールがいつまでも続いた。
でも視点や発想は全く違うのが良い。

家に到着してからの私は「夢だったのかな…」と現実味がなくてしばらく玄関から動けなかった。
混乱したところで、どうにもならないことも知っている。
大切な思い出過ぎて誰にも話せない。
今日、先輩を好きになってしまった私がいる。

恋愛なんて、もうする機会ないと思ってた。
みんな私の分まで楽しんで幸せになってねって、思ってた。
諦めていた。
先輩がどういうつもりなのか、未だにわからない。
先のことは検討もつかない。
だけど、今日の出来事は夢じゃない。
それだけはわかった。

次の約束はしていないから、また来年かな。
借りた本を読もう。

【追記】

私はもう他人には何も求めなくなってしまって。
今や結婚願望もなく、子供についてもよくわからないし、自分の血を継がせたいなんて思うことも全くない。
お互い作家活動がベースの今、金銭面でも負担がないように気をつけたい。
何故なら先輩からは最初のご提案が「図書館での勉強会」だったからだ。
この提案だけでもお金かからないお出かけ&コミニュケーション取りたいんだなって分かりませんか。
そして私の目的はただ一つ。
先輩とは、1人の時も2人の時もお互い別々に細く長く楽しく過ごし語れる関係になりたい。
だから本の貸し借りをしたり、文字で語り合ったりしたいのだ。
脳みそや作品同士で先輩に寄り添ってコミニュケーションが取りたいと初めて思った。